「枕選び」で不眠にならないために

毎月のように高価な枕を買い替えたり、いく種類も買い揃えた枕を毎晩、とっかえひっかえ使うという「枕放浪者」が増えています。なかには、一万円以上の枕をいくつも購人した方もいます。

不眠や体調不良の原因として枕に目をつけたところまでは正解だったのに、「それならどんな枕を選べばいいのか」という最後の難問で四苦八苦していらっしやるようですね。ほんとうにお気の毒なことです。 枕選びに困っている方は、買い替えればきっと自分に合った枕に出会える、そう信じて枕探しの旅に出かけて行くのでしょう。しかし多くの場合、それは出口のない放浪の旅となります。

2003年に800億円と言われた枕市場が、2004年は優に1000億円を超えると予測されています。なかでも注目されるのが「枕買い替え市場」。この市場をねらって、ちまたには新商品と情報があふれています。 それにつれて、ほんとうに「正しい枕」を見つけることも、 「正しい眠り」の情報を得ることも、どんどん困難になってきてしまいました。

「眠らない時代」に生きる「眠れない現代人」を格好のターゲットとして参入する企業のモノづくりをながめるにつけ、シンプルに「眠れること」をめがして開発されたとは思えない商品が多すぎることに驚きます。 必要以上に凝った枕の構造や、装飾的な外見、枕の本質とはかけ離れた形容詞で語られる宣伝文句など、私にはわざと消費者を混乱させようとしているとしか思えません。

しかし、ちょっと厳しいことを言わせていただくなら、消費者の側にも間題はありそうです。もしあなたが、高価な枕を購人して楽しみに持ち帰り、いよいよ頭の下に置いて寝てみたとき、「やっぱりダメだった」となったらどうしますか?

多くの方は、押し入れやクローセットに押し込んで忘れてしまうか、誰かにプレゼントしてしまいます。妻は夫に、若者たちは恋人に、中年女性なら仲のよい友だちに……。

「この枕、私には合わなかったんだけど、あなたなら合うかもしれない。もったいないから、使ってみて」

問題の枕が高価であるほど、そうした傾向は強いようです。そのせいでしょう。高価な枕を何度も買い替える人が多いわりには、メーカーに対するクレームは少ないようです。けれどそれでは、泣き寝人りも同然。 何の苦情も訴えずに、黙って購人品の使用をやめる人を「サイレントクレイマー」と呼びますが、企業にとっては何と都合のいいお客様でしょう。

もちろん、苦情を申し立てる消費者だっているでしょう。ところが多くの場合、「合わないので返品したい」と結論に先走るだけ。「なぜ合わないのだろう?」「どうすればうまく使えるのだろうか?」と、建設的に考えることは少ないようです。 使い捨ての風潮に染まってしまった私たち現代人の、モノに対する執着のなさが裏目に出ているのかもしれません。

枕選びに成功するための第一のカギは、あなた自身が選択の目を善うことです。枕に関する正しい知識と情報を見抜いてください。第二のカギはとことん執着してください。次々と枕を取り替えるのではなく、どうしたら適合するか再調整するのです。


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